パリの貴婦人、ノートルダム大聖堂
突然の火災によって、ノートルダム大聖堂の3分の2が消失してしまったというニュースが世界中を騒がせました。
わたしは今までに2度、ノートルダム大聖堂を訪れたことがあります。まだ記憶に新しい、ヨーロッパじゅうを大寒波が襲ったときに行ったのですが、ノートルダムの荘厳な美しさには息をのんだものです。
ノートルダム大聖堂からパリは始まった!
ノートルダム大聖堂が建っているのは、セーヌ川の小さな島「シテ島」。このシテ島に、ローマ時代に小さな寺院が建てられたのが、パリの歴史の始まりでした。
寺院はローマにキリスト教が広まってからはキリスト教教会となり、9世紀に「ノートルダム(聖母マリアのこと)」と名付けられました。
パリはこのノートルダム大聖堂を中心にして、周囲に広がっていきました。人口が増えるにつれて少しずつ住宅地を継ぎ足していき、城壁を広げていきました。今でも、パリの街中を注意してよく見ると、街を広げるときに取り壊した古い城壁があちこちに残っています。
ですから、パリで最も美しい風景を見ようと思ったら、エッフェル塔やサクレクール寺院を登ってもピンときません。ノートルダム大聖堂の鐘楼から見る眺望が最も美しいのです。パリという街が、この大聖堂を基準にして建てられているからです。
日本人にもなじみ深いノートルダム大聖堂
ノートルダム大聖堂はパリの象徴ですが、意外と日本人にもなじみのある寺院です。
わたしが思い出すのはちょっと(かなり)古い大河ドラマ「獅子の時代」。主人公平沼銑次(ひらぬませんじ、菅原文太)と、ヒロインもん(大原麗子この頃最高の美貌)がノートルダム大聖堂をバックにゆっくりと歩くシーンは実に印象に残るシーン。
セーヌ川の中州にそびえる大聖堂はまるで真っ白な船のように見え、その前を幕末の侍と日本女性が通り過ぎていく光景は、実に歴史を感じる組み合わせでした!
この二人、パリで出会ってその後数奇な運命の果てに結ばれるのですが、それはまた別の話。興味があったら見てくださいね。
あと日本人になじみ深いのは、何と言ってもヴィクトル・ユゴーの「ノートルダムのせむし男」ですよね。この名作は劇団四季でも上演され、マンガでは「あしたのジョー」に出てましたね。ヒロイン白木葉子が、少年院を慰問に訪れ、「せむし男」が恋焦がれるジプシー娘エスメラルダを演じていました。おそらくこのマンガで「ノートルダムのせむし男」を知った方も多いはず!葉子エスメラルダは実に美しく、今もファンは多い(らしい)です!せむし男カシモドを演じていたのは段平のおっちゃん。あんまりだ……。
ノートルダム大聖堂の隠れスポット
大聖堂を訪れた方は、「バラのステンドグラス」や礼拝堂などを見て回るでしょうが、八百年の歴史を誇り、非常に巨大な建造物であるノートルダム大聖堂。見どころはいたるところにあります!
ここではわたしが選んだ「混んでない」「おもしろい」スポットを紹介します!
【サン・ドニの彫刻】
大聖堂の正面、一番左の入り口に、サン・ドニの彫刻があります。見つけるのはとても簡単。何人か成人の彫刻があるのですが、自分の首を両手に抱えて持っているのがサン・ドニです。
この写真の一番左の入り口!サン・ドニは見えないでしょうが……。
この人は3世紀にパリでキリスト教を広めていた坊さんです。そのころ、キリスト教は今のように一般的な宗教ではなくて、とてもマイナーで怪しげな新興宗教だったのです。(今でも新興宗教は怪しさの塊ですよね)信徒が増えるにつれ、サン・ドニは「怪しい宗教を広める奴!」と斬首されてしまいます。
すると奇跡が!なんとサン・ドニは自分の首を拾ってトコトコ歩き出したのです!しかもペラペラと神について熱く語りながら、数キロ歩いたというのですから、これぞ神業と言わずして何でしょう。
サン・ドニがついにぶっ倒れて、今度こそ死んだ(?)場所にはサン・ドニ大聖堂が建っています。パリのちょっと北に位置します。ノートルダムのサン・ドニに挨拶してから、サン・ドニ大聖堂を訪れるのも粋ですね。
セーヌ川の対岸
近くから見るのもいいですが、セーヌ川の歩道から眺めるノートルダムは実に美しいです。セーヌ川にはいくつも橋が架かっていますから、その橋から写真を撮ると大聖堂の全貌を写すことができます!
わたしのおすすめスポットはマドレーヌ方面。セーヌ川にそってずらっと古本の屋台が並んでいます。フランス語の古本なんか見ても……、という方も心配なし。古銭、ポスター、切手など、コレクションにピッタリなアイテムもたくさんあります!
わたしも古銭が欲しかったのですが……一番欲しかった17世紀の金貨(ダルタニャンが使ってたやつです!)がなかったのであきらめました。さすがに、屋台で金貨は売ってなかったですね。(この後、ルーブルの古銭屋を歩き回ったのですが、フランス語が話せなかったので相手にされませんでした)
ノートルダム再建のために寄付しよう!
ノートルダムはフランスで最も歴史ある建造物であり、フランスだけでなく、人類共通の宝でしょう。遠く日本でも、その文化の影響はいたるところに見られます。
わたしも、この記事を読んでいるあなたも、ぜひ再建のために寄付をしましょう!
フランスは東日本大震災の際にも多額の寄付をしてくれましたね。今度は日本が恩返しをする番だと思います!